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脳の中を書き殴る 一時待避所

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テスト

スマホからの投稿テスト


「ここだ」
「うえッ、また弾かれた。自由さん性格悪い」
薄暗く狭い空間で、自由と出倉の会話が聞こえる。
その場所は深さ、幅共に1mも無い、そして周囲は全て湿った土だ。
唯一の例外は上面を覆う濃緑色のビニールシートだが、これもひっきりなしに
雨粒の音と感触を伝え、不快感を煽る
そしてその不快な空間の地面、自由と出倉の間には、通常より小さく作られたバックギャモンの板。
「あ。やったゾロ目」
二人は先ほどから、時間を潰すために自由の持ち込んだミニバックギャモンで遊んでいた。
「なんでそんなもん持ち込んでんだよ」
自由の背後から覗き込んでいた竹泉が呆れ顔で言い放つ。
彼は勝負を続ける二人から目を離し、暗視眼鏡を付け直す。
そして92式7.7mm重機関銃の銃身が突き出している、地面とビニールの隙間から外へと目を向けた。
そこから望めるのは、眼下で東西に伸びる幅の広い谷間の道だった。
凪美の町と草風の村の行路上には、浅く幅の広い谷が2km程続いている地域がある。
ここは谷の南側を走る丘の上に作られた塹壕だった。
「ったく、どんだけ面倒事が積みあがるんだよ」
外を監視しながら愚痴る竹泉。
商議会が送り込んで来た偵察※の証言は、邦人の一件とは別に、
もう一つの問題を発覚させた。
昨晩村を襲った傭兵の本隊が、再び村を襲撃すべく、こちらへに向っている事が判明したのだ。
これに対し日本軍側は傭兵団の進路上で陣地を張り、傭兵団を待ち伏せし殲滅する作戦を立てる。
そして、待ち伏せ地点にこの谷が選ばれたのだ。
谷の各所には、計四つの塹壕が掘られている。
自由等の塹壕は谷のおよそ中間地点に作られ、
長さは5メートル程、92式7.7mm重機関銃と12.7mm重機関銃が一門ずつ据え置いてあった。
後方にも同形態の塹壕が一つ、他に2メートル強の大きさの監視壕が二つあり、
さらに、谷より南に行った所にある林には、迫撃砲陣地が築かれていた。
「こんな鬱陶しい環境に、いつまで閉じこもってりゃいいんだ」
愚痴りながら竹泉は無線を手に取った。
「河義三曹ォ、こちら竹泉。そっちに何か変化はありましたでしょうかぁ?」
『こちらは未だ敵影見えず。他に特に伝えるような事もないぞ』
無線に出たのは河義だ。塹壕よりさらに数百メートル東では、
河義三曹等数名の隊員が谷の入口を監視していた。
「俺としましては、そもそもその傭兵の本隊とやらが馬鹿正直にこんな所通るのか、疑問しょうがねぇんですがね?」
『通らざるを得ないはずだ。この近辺は足場が悪い、そして敵は騎兵が中心で二個中隊規模だそうだ、それも短い期間で片付けろとの命令を受けているらしい。
一騎二騎ならともかく、そんな大所帯が一晩で一度に通れるのはここだけだ。
でなけりゃ数日かけて大きく迂回しなけりゃならない』
「えぇ、そりゃ知ってますよ。作戦の概要はさんざん聞かされましたからねぇ」
『じゃあなんで聞いてきたんだ』
「そんな糞みたいな命令を受けたら、俺だったら全部ぶんなげて帰ることにしますから、
 敵も同じなんじゃねぇかとおもったんですよォ!」
『ああそうかい………』
河儀は竹泉の皮肉な台詞に呆れ声を漏らした。
『どうでもいいけど、お前の態度の酷さはホント噂道理だな。
  一士昇任を見送られたヤツなんて俺始めてみたぞ』
「おべんちゃら使って上官の尻に頬ずりしてたって、自身の向上には繋がりませんからねぇ!」
『もうずっと言ってろ。愚痴しかいう事無いなら切るぞ』
そう言って、無線は一方的に切れた。
「えーと、じゃあここに」
「目が3なのにそこにおけるわけねぇだろが」
「あ、すみません」
竹泉の背後ではバックギャモンが続いている。
「出倉。おめぇ、さては実際に盤上でやったことねぇな?」
「あー、はい実は。いつもはパソコンでやってたんで。
打てる箇所の判別はアシストに頼ってて……」
「お前等はそんな運任せの単純なゲームをよくも飽きずにパチパチパチパチやれるもんだなぁ!?」
ここ数日の疲労に加え、現在の環境のせいでイライラもあり、
竹泉は背後でボードゲームに興じる二人に向って怒鳴った。
「うるせぇ」
「こっちに当たられても困りますよ」
しかし二人は竹泉の罵声を軽くあしらい、淡々とバックギャモンを続ける。
「運だけのゲームじゃないんですよ、出たサイコロ目から、いかに最善のコマの進め方を出来るかが肝心で――」
「ここだな」
「あ」
出倉の孤立していたコマが再び弾かれた。
「………あぁ、アホらし」
二人の淡々とした姿に、自分の行動のほうが馬鹿馬鹿しくなったのか、
竹泉は視線を戻し、外の監視作業へと戻った。
「おい竹泉」
竹泉の行動を見かね、別方向を監視していた刀が口を開く。
「疲れているのは皆同じだ。だが、今この状況で――」
「あぁ、そういうのはいいんだよ」
だが刀の説教は全てを発する前に、竹泉のその一言で流されてしまった。
「おいッ!お前ッ……少しは聞く姿勢を――」
言いかけた刀だったが、ちょうどそこへ、彼女の台詞を遮るように無線に声が飛び込んできた。
『ジャンカー4聞こえるか、河義だ。敵が見えたぞ………ッ!』
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